「良い姿勢にしようとしてキツくなります、もっと楽に姿勢を良くするにはどうしたらいいですか?」
皆様から、よくいただく質問です。
これまで私は、
「骨盤を立てましょう」
「肩を少し後ろに引きましょう」
「顎を引きましょう」
など、さまざまな姿勢の整え方をお伝えしてきました。
もちろん、これらはどれも間違った方法ではありません。
ただ、長年皆さんに姿勢をお伝えしていく中で、あることに気付きました。
「全部を同時に意識するのは、難しい」
ということです。
骨盤を意識すると肩のことを忘れてしまう。
肩を意識すると、今度は顎が上がってしまう。
頑張って全部を意識すると、身体が力んでしまう。
そして何より、毎日それを続けるのが大変です。
そこで、もっとシンプルに、身体全体をまとめて整えられないかと考え、いろいろ試してきました。
そして現在、姿勢を整える際に私が皆さんへお伝えしているのが、
「胸骨をほんの少し、斜め上に向けてみてください」
という方法です。
胸骨を「ほんの数ミリ」斜め上へ
胸骨とは、胸の中央にある骨のことです。
姿勢を整えるときに、ここを「ほんの数ミリ」斜め上に向けるようなイメージを持ってみてください。
ポイントは、
「胸を張る」のではない
ということです。
胸を張ろうとすると、肩を後ろに引きすぎたり、腰を反りすぎたりすることがあります。
そうではなく、
胸骨をほんの数ミリ斜め上に向けるイメージだけ
で十分です。

胸骨を動かすと、身体全体が自然に変わる
胸骨をほんの少し斜め上へ向けるイメージを持つと、その動きにつられるように身体全体が自然に変化していきます。
骨盤が寝ていた人は、自然に起きてくる。
肩が前に入っていた人は、自然に後ろへ戻ってくる。
頭が前に出ていた人は、自然に後ろへ戻ってくる。
つまり、一つひとつを別々に動かさなくても、
身体全体がまとまって動きやすくなる
のです。
「骨盤を立てる」だけでは難しい理由
例えば「骨盤を立てましょう」とお伝えした場合。
骨盤が後ろに倒れている人にとっては、とても良いアドバイスです。
しかし、すでに腰が反りやすい人が「もっと骨盤を立てよう」とすると、今度は腰を反りすぎてしまうことがあります。
つまり、
「正しい位置にする」という意識が、かえってその人にとって無理な姿勢を作ってしまうことがある
のです。
その点、胸骨をほんの少し斜め上へ向けるという方法なら、身体全体が連動して動きやすくなります。
骨盤が寝ている人は起きてくる。
反りすぎている人は、それ以上無理に反る必要がなくなる。
肩も、頭も、それぞれを無理に動かすのではなく、身体全体のバランスの中で自然な位置に近づきやすくなります。
姿勢は「あれもこれも」ではなく、一つだけ
以前の私は、
「骨盤はこうしてください」
「肩はこうしてください」
「顎はこうしてください」
と、いくつものポイントをお伝えしていました。
しかし、それでは身体がバラバラになりやすい。
肩だけ後ろに引いているけれど、骨盤はそのまま。
顎だけ引いているけれど、身体全体には力が入っている。
そんなことも起こります。
だから現在は、
「姿勢を良くしようとするときは、まず胸骨だけ意識してください」
とお伝えしています。
一つだけなら、覚えやすい。
一つだけなら、続けやすい。
そして、一つの場所を意識することで、身体全体がまとまって動きやすくなる。
これが、長年姿勢について考えてきた私が、現在たどり着いたシンプルな方法です。
胸骨から「光が出ている」イメージ
実は、この「胸骨を少し斜め上に向ける」という考え方には、私自身の武術での経験も関係しています。
武術をしていた頃、師匠から、
「胸骨から光が出て、照らしているように」
というイメージを教わったことがあります。
当時は、その意味を深く考えていませんでした。
しかし、姿勢について考え続ける中で、ふとその言葉を思い出しました。
胸骨から光が出ているようにイメージすると、胸だけを動かそうとするのではなく、身体全体が一つにつながりやすくなります。
おそらく、身体を部分的に操作するのではなく、
一つのイメージで身体全体を動かすことにつながるからではないか
と私は考えています。
今、椅子に座ったまま試してみてください
今、椅子に座っている方は、そのまま試してみてください。
まず、いつもの姿勢になります。
そして、
「胸骨をほんの少しだけ、斜め上へ」
と意識してみてください。
ただ、胸骨が斜め上を数ミリ向くようなイメージです。
力を入れて胸を張る必要はありません。
自然に、無理のない範囲で胸骨を少し斜め上へ向けてみてください。
すると、その方の今の身体の状態や硬さに合った、無理のない良い姿勢になっていると思います。
身体のどこかを無理に動かすのではなく、
身体全体が自然にまとまる感覚
を探してみてください。

「正しい姿勢」に無理やり固めないことも大切です
姿勢は、無理やり「正しい形」に固めるものではありません。
人によって身体の柔らかさも違えば、関節の動きや筋肉の硬さも違います。
大切なのは、その人の身体が無理なく動ける範囲で、自然に整っていくことです。
ですから、
「あれもこれも」ではなく、「胸骨をほんの少し斜め上へ」。
まずは、この一つだけ覚えてみてください。
まとめ
以上が、
『簡単で楽に姿勢を整える方法』
になります。
姿勢を良くしようとして、
「骨盤を立てないと」
「肩を後ろにしないと」
「顎を引かないと」
と、たくさんのことを同時に頑張る必要はありません。
まずは、
「胸骨をほんの少し斜め上へ」
これだけを意識してみてください。
身体全体が自然にまとまりやすくなり、無理のない姿勢を作るきっかけになると思います。
ぜひ日常生活の中で、一度試してみてくださいね。
その他、気になることや分かりづらいことなどありましたら、来院時やLINEにてお気軽にご質問ください。






